経営管理ビザ更新で審査される7つのポイント|2025年最新基準を専門家が徹底解説
目次
1. 経営管理ビザとは
「経営管理ビザ」(在留資格「経営・管理」)は、日本国内で外国人が 会社を設立し経営する/日本支店や子会社の管理職として勤務する などの活動を行う際に必要な在留資格です。
このビザによって、一定期間日本に滞在しながら会社経営や管理業務に従事することが認められます。
これまで、資本金数百万円・最低限の従業員・事務所などの実態があれば許可されるケースもありましたが、近年、制度の濫用や「名義だけ」の会社による不正利用を防止するため、要件の大幅見直しが行われました。
2. 2025年10月の改正点概要
2025年10月16日、上陸基準省令および関連施行規則が改正され、経営管理ビザの許可基準が厳格化されました。
主な改正ポイントは以下の通りです:
- 資本金または事業への投下総額の引き上げ
- 常勤従業員の雇用義務
- 申請者の学歴/経歴の要件強化
- 事業計画の事前確認(専門家による確認)義務化
- 自宅兼オフィスの原則禁止
- 税金・社会保険などの納付義務・履行状況の確認強化
これらの改正は「新規申請」に留まらず、既に「経営・管理」で在留している人の更新申請にも影響を及ぼします。
3. 更新時に特に審査される主要ポイント
更新申請時に審査される内容は、新規許可時と同様ですが、特に次のような観点が重視されます。
資本金または投下額の水準
- 企業(法人)としての経営を行っている場合、資本金または投下総額が少なくとも 3,000 万円相当であることが求められる可能性が高い。
- 単に名義だけの法人、事業として実態が希薄な法人は、許可が難しくなっている。
常勤従業員の雇用
- 更新申請時には、日本人、特別永住者、または法別表第二の在留資格を持つ外国人など、適格な従業員を 最低1人以上「常勤」で雇用していることが必要。
- 単なるパートタイムや名義だけの従業員では不十分。給与や労働実態、雇用保険や勤務実績なども確認される。
事業所の実態と経営の実効性
- 自宅を事務所と兼用するケースは、原則として認められず、事務所スペースの確保が求められる。
- 事業の内容や事業実態が「実質的な経営または管理」であるか、外部委託による単なる「名義貸し」でないかを重視。
経営実績・報酬・事業の安定性
- 法人税・法人住民税・事業税などの 公租公課(税金)の納付状況 がきちんとされているか。
- 社会保険や、従業員の保険(健康保険・厚生年金など)加入の適切性。特に、社会保険加入義務のある事業所である場合は、適正に加入しているか確認。
- 業種によっては許認可が必要な場合があり、許認可を取得していないと更新が認められない可能性も。
事業計画および実績報告(経営に関する説明)
- 更新申請時には、「直近の在留期間中にどのような経営/管理業務を行っていたか」の実績報告書や説明書の提出が求められるケースがある。
- 単に法人登記簿や決算書を出すだけでなく、「具体的にどのような管理・経営を行ったか」を文書で説明できるかが重要。
- また、そもそも最初に提出した事業計画との整合性も見られるため、計画どおりの事業運営がなされているかもチェックされる。
4. 更新で不許可になりやすいケース(チェックリスト)
| チェック項目 | 不許可になりやすい例 |
|---|---|
| 資本金/投下額が不十分 | 資本金が極小、投資総額の根拠が薄い |
| 常勤従業員がいないまたは不適格 | 従業員がパート・アルバイトのみ、日本語能力がない外国人のみ等 |
| 事務所実態が乏しい | 自宅兼事務所、明らかに事業スペースに足りない |
| 経営実態が希薄 | 業務の大半を外部委託、名義だけの経営、本人がほとんど関与していない |
| 税金・社会保険・許認可が未整備 | 法人税・住民税など未納、社会保険未加入、許認可取得なし |
| 実績説明が不十分 | 決算書だけ、業務内容や本人の関与が説明されていない |
| 事業計画との差異が大きい | 最初の計画と全く異なる事業内容・規模になっている |
このような状況では、更新時に不許可となる可能性が高いため注意が必要です。
5. 更新申請に必要な書類と準備のポイント
更新申請時には、以下のような資料の提出が一般的です(ただし事案により増減あり。必ず入管庁または専門家に確認を)。
- 所属機関の登記事項証明書(法人の場合)/開業届など(個人事業主の場合)
- 最近の決算書、収支計算書、貸借対照表など、会社の経営状況を示す資料
- 従業員の雇用実態を示す書類(雇用契約書、給与支払状況、社会保険加入状況等)
- 事務所の賃貸借契約書または事務所の所在を示す資料(登記簿や賃貸借契約、間取り図など)
- 税金の納付証明書類および税務署・市区町村等の納税状況確認資料(法人税、住民税、事業税など)
- 事業内容、実績、経営に関して「申請者本人がどのように携わっていたか」を説明する文書(経営/管理の実績報告書など)
準備のポイント:
- 従来の「名義だけ」の設立・運営ではなく、実質的に経営・管理を行っている実績を文書で示すこと。
- 税金・社会保険・許認可などの法令遵守状況をきちんと整備・証明すること。
- 事務所の実態をきちんと整える(賃貸契約など)、また従業員の雇用を“常勤”かつ適格な人材で行うこと。
- 決算書や収支状況で経営の健全性を示すこと。
これらをきちんと整理・整備することで、更新時のリスクを下げることが可能です。
6. よくある質問(Q&A)
Q1. 既にビザを持っていて更新する場合も新基準が適用されるのか?
A. はい。今回の改正は、既に「経営・管理」で在留中の方の更新申請にも適用されます。新基準に今すぐ適合していない場合でも、2028年10月16日までの経過措置期間中は、「経営状況の良好さ」や「次回更新までに新基準を満たす見込み」などを総合的に判断される可能性があります。
ただし、この猶予は一時的なものであり、将来的には新基準を満たす必要があります。
Q2. 自宅兼オフィスでも大丈夫?
A. 原則として認められません。改正後は「事業所としての実態ある事務所の確保」が求められるため、自宅兼用は審査上マイナスとなる可能性が高いです。
Q3. 従業員はどのような人であれば良いのか?
A. 日本人、特別永住者、または法別表第二の在留資格を持つ外国人(永住者、その配偶者等、定住者等)が対象です。単にパートタイマー・短時間勤務ではなく、常勤(週30時間以上、年間217日以上など)で、雇用保険の加入などきちんとした雇用実態がある必要があります。
Q4. 決算が赤字でも更新できるか?
A. 単なる赤字であっても、それだけで即不許可とは限りません。ただし、決算や収支の状況、資本金の状況、従業員の雇用状況、税金・社会保険の支払い状況などを総合的に判断されます。特に「実態が希薄である」と見なされるとリスクがあります。
Q5. 申請書類が多くて不安。できれば専門家に頼むべきか?
A. 更新の可否を左右するポイントが多岐にわたるため、特に初めての改正後更新や、経営に不安がある場合は、専門家(行政書士やビザ申請に強いコンサルタント)への相談をおすすめします。
7. 関連記事・参考リンク
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参考リンク
まとめ
2025年10月の改正により、経営管理ビザの「実態ある経営/管理」「安定した資金・従業員・事務所」「税金・社会保険の適正運用」といった 実効性・継続性のある事業経営 が、更新審査の中心となっています。名義だけの法人、パート的な従業員、形だけのオフィスなどは、今後通用しづらくなっているため、更新申請の前には 自社の体制・実績を“見える化”し、必要書類を整備・整理する ことが非常に重要です。
![]() 「記事監修」 加納行政書士事務所 運営HP:ビザ申請サポートNavi https://visasupportnavi.net/ 代表 特定行政書士 加納 裕之 「学歴」 同志社大学大学院法学研究科公法学専攻博士前期課程修了(修士(法学)) 明治大学法科大学院修了 「資格」 行政書士(特定付記)、TOEIC805点 「専門分野」 入管取次・ビザ申請、在留資格、永住・帰化、外国人問題、国際公法 |
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