ドイツ人配偶者の永住権取得ガイド|在留資格「永住者」の条件・必要書類・審査ポイントを徹底解説
目次
永住権とは何か
- 日本における「永住権」とは、外国籍のまま、在留期間・在留活動に制限なく日本に住み続けられる権利です。在留資格「永住者」を取得することで実現します。
- 永住権のメリットは大きく、例えば:
- ビザの更新が不要になる。
- 就労や職業の制限がなくなり、ほぼ日本人と同等の生活基盤が得られる。
- 社会的信用度や将来設計の安定。
- ただし、永住取得には「在留資格変更許可申請」の手続きが必要であり、申請内容・提出書類・審査は厳格です。
なぜ「外国人(たとえばドイツ人)と日本人/永住者の配偶者」は特例なのか
本来、外国人が永住権を申請する場合、多くは日本で長期間(たとえば 10 年以上)継続して在留することが要件となることが多いですが、配偶者の場合は「特例」が認められています。
具体的には:
- もし配偶者が日本人、あるいはすでに在留資格「永住者」を持っている場合、
- 婚姻生活が「実態を伴って」3年以上継続していること、
- かつ、日本で1年以上継続して在留していること、
- そして現在の在留資格が最長期間(たとえば配偶者ビザなら 3 年または 5 年)であること、
という要件で永住申請が可能とされています。
- このように、ドイツ人などの外国籍配偶者であっても、上記条件を満たせば永住権取得の「特例対象」となり得ます。
永住申請の主な条件・審査ポイント
以下は、配偶者ビザから永住申請する場合に、当局が重視する主なポイントと条件です。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 婚姻の実態 | 法律上の有効な婚姻であること。単なる婚約・内縁関係、また形式だけの結婚(日本に入国後別居など)は認められず、「同居」「互いに協力・扶助」「社会通念上の夫婦共同生活」が伴っている実態が必要。 |
| 婚姻期間と在留期間 | 婚姻が3年以上継続し、日本に1年以上継続して在留していること。現に保持する在留資格の在留期間が最長であること。 |
| 素行・公的義務の履行 | 過去に重大な犯罪歴がないこと。交通違反の重い罰金や懲役などもネガティブとされることがあります。税金・公的年金・健康保険などの支払い・納付がきちんとされていること。 |
| 経済的基盤・独立性 | 申請者または配偶者(保証人)が安定した収入を得ており、将来的にも安定して生活できる見込みがあること。資産や職業、所得証明などが問われます。 |
| 在留資格の安定性 | 現行の在留資格(たとえば配偶者ビザ)が最長期間であること。在留状況が不安定(短期/更新を重ねているなど)だと、永住申請は難しくなります。 |
必要書類(一般的)
以下は、配偶者(日本人または永住者)と結婚して永住申請する場合に一般的に必要とされる書類の例です。ただし、個別の事情(婚姻の形態、在留資格、居住状況など)によって異なるため、最新の公式情報(出入国在留管理庁 = 入管)のページで確認することが必須です。
主な提出書類
- 永住許可申請書(所定用紙)
- 写真(縦 4 cm × 横 3 cm)1枚
- 婚姻証明書または配偶者との家族関係を証明する公的文書(外国での婚姻なら日本語訳を添付)
- 住民票(世帯全員分・マイナンバー記載なし)
- 申請者および/または配偶者(保証人)の職業証明・収入証明(在職証明書、源泉徴収票、課税証明書など)
- 公的年金・健康保険など社会保険料の納付状況を証明する書類(年金定期便、国民年金保険料領収証、健康保険証の写し等)
- パスポートおよび在留カード(コピーおよび提示用原本)
- 身元保証書(保証人=配偶者または永住者等)および保証人の身分証明書の写し(免許証など)
- 了解書(申請にあたっての条件・義務の確認書)
ドイツ人配偶者が申請する際の注意点・実務的ポイント
- 婚姻の実態証明をきちんと整える:単なる婚姻証明だけでなく、共同生活の証拠(住民票、共同名義の賃貸契約書、公共料金の請求書、写真、ライフスタイルの証明など)があると、実態ある婚姻と認められやすい。
- 安定した収入・生活基盤を示すこと:外国人配偶者だけでなく、配偶者(保証人)側の収入・納税・年金・健康保険加入などを証明できるように準備する。
- 在留資格と在留期間の安定化:申請前に在留資格の更新を受け、最長期間(たとえば配偶者ビザなら 3 年または 5 年)が付与されていることを確認する。これにより、審査通過可能性が高まる。
- 法令・義務の遵守:犯罪歴だけでなく、税金支払い、年金/健康保険の未納、不正就労や虚偽申請などは大きなマイナス要素。特に過去に罰金や懲役などがあると、一定期間経過してからの申請が必要になる可能性がある。
- 提出書類の正確さ・言語対応:外国語で作成された証明書は日本語訳を添付。発行からの期間(住民票や戸籍謄本など)は3か月以内が望ましい。
なぜ「ドイツ人配偶者」という国籍は手続きに影響しないか
上記の通り、永住申請時に重要なのは「配偶者が日本人か、あるいは永住者であるか」というステータスであって、配偶者の国籍自体(たとえばドイツ)がそのまま制度上の利点・不利を生むわけではありません。
つまり、ドイツ人であっても、日本人または永住者の配偶者であり、婚姻の実態・在留形態・収入・生活基盤などの条件をクリアすれば、他のどの国籍の人と同様に永住申請可能です。
Q&A — よくある質問とその答え
Q1. ドイツで結婚 → 日本に来たばかりでも永住申請できる?
A. 結論から言うと、条件次第では可能です。ただし、以下を満たす必要があります:婚姻期間が少なくとも 3 年(ドイツと日本での婚姻期間を通算)、かつ日本での在留が引き続き 1 年以上、さらに現在の在留資格の在留期間が最長であること。これを満たしていれば申請対象となります。
ただし「婚姻の実態(同居・共同生活)」の証明が非常に重要になるため、住民票、共同生活の証拠、収入状況などをしっかり整える必要があります。
Q2. ドイツ語の婚姻証明書でも大丈夫か?
A. 日本の入管は日本語の書類を基本とするため、外国語(ドイツ語など)の証明書を提出する場合は「日本語訳」を添付する必要があります。加えて、翻訳者の氏名・住所・連絡先などを記載した「翻訳証明書」を用意するのが一般的です。これは多くの行政手続きで求められるため、事前に準備を。
Q3. 配偶者が日本で働いていない・無収入でも申請できる?
A. 可能ですが、その場合、申請者本人または別の保証人の収入・資産・安定性を証明する必要があります。たとえば、共同で貯蓄がある、安定した職業がある、過去の納税・年金・保険の支払い実績がある、など。収入が不安定だと審査が厳しくなるので、可能な限り「安定性」を示す証拠を揃えることが重要です。
Q4. 永住申請から許可までどれくらい時間がかかる?
A. 案件の内容にもよりますが、一般的には「数か月〜半年程度」が目安とされています。たとえばある行政書士事務所では、結婚ビザから永住者への申請で、8か月程度かかると案内しています。
ただし、書類不備や審査が厳しくなっている場合は、それより長くかかる可能性があるため、余裕を持って準備することをおすすめします。
なぜこのような配偶者特例があるのか — 背景・狙い
- 日本では、就労ビザなどで外国人が永住権を得るには長期在留や一定の社会的基盤が必要ですが、配偶者の場合、国際結婚という社会実態を通じて「既に日本に家庭を持ち、日本社会に溶け込んでいる可能性」が高いと判断され、特例的に要件が緩和されています。これにより、家族単位での日本での定住・生活の安定が図られます。
- ただし、その分「婚姻の実態」「生活実態」「収入・納税状況」「公共負担にならないこと」などが重視され、形式的・形だけの結婚では永住は認められません。
まとめ:ドイツ人配偶者の永住申請で成功するためのポイント
- 婚姻の実態をきちんと証明すること — 同居、共同生活、ライフスタイルの証拠を残す。
- 在留資格と在留期間を安定させること — 配偶者ビザを更新し、最長期間(3年または5年)を取得。
- 収入・生活基盤・社会保険/納税の証明を用意すること — 申請者または配偶者(保証人)の安定性を示す。
- 外国文書には日本語訳を添付すること — 婚姻証明書など、ドイツで発行された書類は翻訳を忘れずに。
- 余裕を持って書類準備をし、公式情報(入管サイトなど)で要件の最新版を確認すること。
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参考リンク
![]() 「記事監修」 加納行政書士事務所 運営HP:ビザ申請サポートNavi https://visasupportnavi.net/ 代表 特定行政書士 加納 裕之 「学歴」 同志社大学大学院法学研究科公法学専攻博士前期課程修了(修士(法学)) 明治大学法科大学院修了 「資格」 行政書士(特定付記)、TOEIC805点 「専門分野」 入管取次・ビザ申請、在留資格、永住・帰化、外国人問題、国際公法 |
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