就労ビザ取得までの流れ|全体フロー・必要書類・審査ポイントを専門家が徹底解説
就労ビザ(在留資格)を取得するには、事前準備から審査対応まで複数のステップを正確に進めることが重要です。
この記事では、在留資格「技術・人文知識・国際業務」など一般的な就労ビザを例に、取得までの流れを専門家目線で徹底解説します。
企業側の採用担当者・外国人本人の双方が理解しやすいように、フロー図・注意点・よくある質問も網羅した完全版です。
目次
1.就労ビザとは?
外国人が日本で働くために必要な在留資格の総称です。
企業が採用する際には、候補者が就労できる資格を持っているか、または取得可能かを事前に確認する必要があります。
多くの外国人が取得するビザは以下:
- 技術・人文知識・国際業務(技人国)
- 高度専門職
- 技能ビザ(調理師など)
- 介護ビザ
- 特定技能(1号・2号)
- 経営・管理ビザ
この記事では 企業採用で最も一般的な「技術・人文知識・国際業務」 を中心に解説します。
2.就労ビザ取得までの全体フロー
【企業採用の典型的な流れ】
- 採用決定
- 職務内容が就労ビザの対象か確認
- 外国人の学歴・職歴が要件に適合するか確認
- 雇用契約書の作成
- 必要書類の収集
- 在留資格認定証明書(COE)申請
- 入国管理局が審査(1〜3か月)
- COE交付
- 海外の日本大使館・領事館でビザ発給
- 日本入国・在留カード受取
この流れを正しく理解することで、不許可リスクを大幅に下げることができます。
3.ステップ①:採用ポジションが就労ビザの対象か確認
就労ビザは どんな仕事でも働ける“万能ビザ”ではありません。
技人国ビザで働ける仕事(例)
- プログラマー・エンジニア
- 通訳・翻訳
- 営業・マーケティング
- 企画・人事・総務
- デザイナー
- 貿易事務
- 経理など専門知識を要する事務
単純作業・工場作業・レジ打ち・清掃などは不可。
4.ステップ②:学歴・職歴が要件に適合するか確認
技人国ビザは 学歴または職歴 のどちらかで要件を満たします。
学歴
- 大卒(専攻が職務内容に関連)
- 日本の専門学校卒(専門士)
職歴
- 実務経験10年(職種が関連)
よくある不許可例
- カフェ店員を雇う → 単純労働で不可
- 大学の専攻が関係ない → 関連性が弱く不許可リスク
- 実務経験の証明が十分でない → 審査で疑われやすい
5.ステップ③:雇用契約書の準備
雇用条件は入管が厳しく確認します。
チェックされるポイント
- 給料が日本人と同等以上か
- 社会保険加入は適正か
- 勤務内容がビザ要件に適合しているか
- 勤務地が明確か
- 雇用形態が適法か(原則フルタイム)
給与が低い・仕事内容が曖昧だと不許可につながります。
6.ステップ④:会社の活動内容・規模が要件に適合するか確認
入管は、外国人を雇える企業かどうか「会社側の要件」も厳しく審査します。
審査ポイント
- 事業実態があるか
- 売上・従業員数
- オフィスの法人登記
- 法人税の納税状況
- 社会保険加入状況
- 外国人の受入体制
赤字企業でもビザは取れる?
→ 赤字でも許可は可能
ただし「安定性・継続性の説明」が必要。
7.ステップ⑤:必要書類の収集
一般的に必要となる書類例:
企業側
- 登記簿謄本
- 従業員名簿
- 会社案内
- 決算書
- 雇用契約書
- 給与規程
- 事業内容がわかる資料(HPなど)
外国人本人
- パスポート
- 履歴書
- 卒業証明書・成績証明書
- 職歴証明書(必要な場合)
- 写真
8.ステップ⑥:在留資格認定証明書(COE)申請
企業(または行政書士)が地方入管で申請します。
審査期間
- 約1〜3か月
審査の内容
- 仕事内容はビザ要件を満たしているか
- 外国人の学歴・職歴は適格か
- 会社の経営状況は健全か
- 偽装雇用の疑いはないか
9.ステップ⑦:日本入国〜ビザ発給
COEが交付されると、外国人は母国の日本大使館・領事館でビザ発給を受けます。
10.ステップ⑧:日本入国・在留カードの受取
日本入国時に在留カードが空港で発行されます。
その後、住民登録・社会保険加入などの手続きが必要です。
11.就労ビザの審査期間の目安
| 区分 | 期間 |
|---|---|
| 在留資格認定証明書(COE) | 1〜3か月 |
| 在留資格変更 | 1〜2か月 |
| ビザ発給 | 約1週間 |
12.就労ビザが不許可になりやすいケース
仕事内容がビザの対象外
→ 単純労働が含まれる
学歴が合わない
→ 専攻との関連性が弱い
会社の経営状況に問題がある
→ 社会保険未加入、大きな赤字など
雇用契約書の内容が不適切
→ 給与が低い、労働条件が曖昧
説明資料が不足している
→ 入管は「疑いがある」と判断しやすい
13.就労ビザを専門家に依頼すべきケース
以下に当てはまる場合はプロに相談を推奨:
- 仕事内容がビザ対象か判断が難しい
- 赤字決算や創業間もない会社
- 専攻と職務内容の関連性説明が弱い
- 外国人の職歴証明が不十分
- 過去に不許可歴がある
行政書士に依頼することで不許可リスクを大幅に減らせます。
14.Q&A(よくある質問)
Q1:就労ビザは何年の在留期間がもらえますか?
→ 1年・3年・5年のいずれか。
初回は1年が多いですが、会社の安定性次第で3年が出ることもあります。
Q2:アルバイトから社員になれば就労ビザに変えられる?
→ 原則可能。ただし「仕事内容・学歴・会社の要件」の審査が必要。
Q3:日本の専門学校卒でも就労ビザは取れますか?
→ はい。「専門士」であれば技人国の対象になります。
Q4:内定後すぐに働かせられますか?
→ ビザ許可が出るまでは働けません。
Q5:不許可になったらどうすればよい?
→ 理由書開示 → 再申請で許可されるケースも多いです。
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参考リンク
![]() 「記事監修」 加納行政書士事務所 運営HP:ビザ申請サポートNavi https://visasupportnavi.net/ 代表 特定行政書士 加納 裕之 「学歴」 同志社大学大学院法学研究科公法学専攻博士前期課程修了(修士(法学)) 明治大学法科大学院修了 「資格」 行政書士(特定付記)、TOEIC805点 「専門分野」 入管取次・ビザ申請、在留資格、永住・帰化、外国人問題、国際公法 |
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