パティシエ(菓子職人)の技能ビザ要件と審査ポイント|在留資格「技能」を専門家が徹底解説
技能ビザ(在留資格「技能」)の中でも特に相談が多いのが「パティシエ(菓子職人)」の申請です。
日本の洋菓子・和菓子店は外国人の採用に積極的ですが、技能ビザは“熟練技能”を前提としており、通常の調理スタッフよりも厳格な要件が求められます。
この記事では、パティシエの技能ビザの許可要件・必要書類・不許可を避けるポイント・審査の実務を徹底解説します。
目次
この記事の結論(要点まとめ)
- パティシエの技能ビザは「洋菓子製造」「和菓子製造」「パン製造」などの熟練技能が対象
- 10年以上(学歴含む)の実務経験が最重要
- 技能の「希少性」「専門性」「日本で必要とされる背景」を説明できるかが審査の核心
- 帰国後のキャリアプランも審査ポイント
- 書類の質で許可率が大きく変わる
1. パティシエの技能ビザとは?
在留資格「技能」は、法務省が定める 熟練の技能を要する職種 を対象としたビザです。
一般的なパティシエ(菓子職人)は、その中の下記の料理人の区分に該当します。
「料理人の技能」
- 洋菓子製造(ケーキ、ショコラ、焼菓子、デセール等)
- 和菓子製造(練り切り・餅菓子・干菓子等)
- パン職人(ブーランジェ)も同じ枠組み
技能ビザは、外食分野の特定技能1号とは異なり、
高度で希少な熟練技能を活かした業務のみが対象です。
2. 技能ビザ(菓子職人)の適用対象となる業務
対象となる業務
- 自家製菓子の製造(洋菓子・和菓子)
- 新メニューの開発
- 製造工程の品質管理
- 味・見た目の高度な調整
- 製造工程の指導(スーシェフ・シェフパティシエ補佐等)
対象外(不許可になりやすい)
- 接客・レジ・配膳中心
- 包装・箱詰めなど単純作業
- 工場ライン作業
- コンビニ・スーパーの調理補助
- 経験が浅い一般調理スタッフ
3. パティシエの技能ビザの許可要件
技能ビザの根拠は法務省告示(※外部資料)。
菓子職人の場合、最も重要なのが 「10年以上の実務経験」 です。
(1)10年以上の実務経験(必須)
内訳の例:
- パティシエとしての実務経験:8年
- 専門学校(洋菓子科等):2年
➡ 合計10年で要件クリア
※「菓子製造業務」と明確に確認できる職務内容が重要
(2)日本で従事する業務が“熟練技能”であること
- 新商品の開発に携わる
- 難易度の高い製造を担当
- 店の看板商品を担う
- 高度なデコレーション技術を要する
単純作業しか記載されていないと不許可の可能性大。
(3)雇用契約の適正性
- 労働条件通知書
- 給与が同職種の日本人と同等以上
- 社会保険加入
(4)会社の安定性(企業側の審査)
- 事業の継続性
- 売上・利益
- 事業計画
- 菓子の製造設備が整っているか
4. 必要書類一覧(企業側・外国人側)
企業側の書類
- 会社登記簿謄本
- 会社案内・パンフレット
- 決算書(直近1~2期)
- 雇用理由書(※重要)
- 菓子製造設備の写真
- 雇用契約書
- 仕事内容詳細書
- 従業員名簿
- 菓子の製造フロー資料
- 店舗写真、衛生許可証の写し
外国人側の書類
- パスポート
- 写真
- 在留資格認定証明書申請書
- 履歴書
- 職歴証明書
- 勤務期間
- 業務内容(製菓に関する記載必須)
- 学歴証明(洋菓子専門学校など)
- 技能証明書(コンクール受賞歴があれば有利)
5. 技能ビザの審査ポイント(不許可を避けるコツ)
(1)10年の実務経験を裏付ける“証拠”が重要
審査で重視される書類:
- 在職証明書
- 給与明細
- 労働契約書
- 社会保険加入履歴
- 菓子製造経験を特定できる職務内容
(2)仕事内容の詳細が曖昧だと不許可になる
例:
×「菓子の製造補助」
×「商品の仕込みや準備」
×「販売も行う」
→ 熟練技能ではないと判断される
許可につながる記載例:
○「フランス菓子の高度なデコレーション工程を担当」
○「看板商品のレシピ開発」
(3)給与が低すぎると不許可
最低ラインの例:
- 月給23万円〜
- 実務内容が高度であれば25~30万円が望ましい
(4)店舗の規模・設備が不十分だと不許可
- 冷蔵・冷凍設備
- 本格的なオーブン
- ショコラ用設備
- ケーキショーケース
- 作業台
「既製品を仕入れて販売するだけ」は技能ビザ不可。
(5)同じ業務を日本人が担当している実態
「技能が必要な業務」だと示すために
日本人パティシエが在籍している方が許可率は上がります。
6. パティシエの技能ビザでよくある不許可例
- 経験が10年未満
- 職務内容が“単純作業”と判断される
- 工場ライン作業しか経験がない
- 洋菓子専門学校など学歴の証明が出ない
- 給与が極端に低い
- 店舗の設備が不足
- 店舗の売上が低すぎる
- 店舗の規模が小さすぎる(厨房スペースがない 等)
7. 技能ビザを取得するための実務ポイント
(1)職務内容を「熟練技能」として詳細に書く
特に「技術・工程」を細かく記載すると許可率が上がります。
(2)技能の証拠を集める
- 写真(製菓技術)
- 資格・講習修了証
- コンクール受賞歴
(3)事業計画書を準備する
パティシエが採用された理由の説得力が増す。
8. 申請から許可までの流れ
- 必要書類の準備(1〜2か月)
- 入管へ申請(COEの場合:在留資格認定証明書申請)
- 審査期間:1.5〜3か月
- COE交付後、海外の在外公館でビザ申請
- 入国後、在留カード受領
9. Q&A(よくある質問)
Q1:10年経験が9年11か月の場合、許可されますか?
→ 原則不可。10年以上は厳格に判断されます。
Q2:飲食店で調理も接客も行う場合は?
→ 接客中心だと不許可。製菓がメインであることが必要。
Q5:パティシエを複数名採用できますか?
→ 可能。ただし店舗規模・売上が基準になります。
10. まとめ
- パティシエの技能ビザは難易度が高い
- 10年以上の実務経験が最重要
- 業務内容の詳細説明が許可を左右する
- 書類の精度が高ければ許可率は大きく向上
- 行政書士による書類作成サポートで不許可リスクを大幅に軽減
パティシエの技能ビザは、「高度で希少な熟練技術」を証明できるかが勝負です。
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![]() 「記事監修」 加納行政書士事務所 運営HP:ビザ申請サポートNavi https://visasupportnavi.net/ 代表 特定行政書士 加納 裕之 「学歴」 同志社大学大学院法学研究科公法学専攻博士前期課程修了(修士(法学)) 明治大学法科大学院修了 「資格」 行政書士(特定付記)、TOEIC805点 「専門分野」 入管取次・ビザ申請、在留資格、永住・帰化、外国人問題、国際公法 |
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