経営・管理ビザでバーチャルオフィスは使える?事業所要件を徹底解説
目次
経営・管理ビザにおける「事業所(オフィス)要件」とは
1. 法令上の基準
- 在留資格「経営・管理」に関する要件は、**上陸基準省令(出入国管理及び難民認定法第7条第1項第2号基準を定める省令)**に明記されています。
- その中で省令は、以下のように定めています(概略):
- 申請者の事業を営む「事業所」が日本国内に存在している、または確保されている施設があること。
- 事業の規模(資本金や常勤職員数など)が一定以上であること。
- また、2025年10月16日からの審査基準の改正では、事務所 (“office”) に関する条件がより厳格になりました。
- 特に 「自宅兼事務所(居住スペースと明確に区分されない)」 は原則として不可とされました。
- 「独立した事務所」の確保が明示されており、住居のみをオフィスとして使うことへの規制強化が行われています。
2. 実務上の要件(運用・審査ポイント)
法律上の基準を実際の審査でどのように見られているかは、実務的なガイドラインなどのコメントからも把握できます。
- 独立性:オフィスが明確に区画されており、他の用途(居住など)から区分されていることが重要です。
- 継続性:短期間のみの賃貸や、すぐに解約可能な施設(たとえば短期レンタル、屋台など)は、継続的な運営場所として認められにくい。
- 設備・実態:事務所には、パソコン、電話、コピー機等の事務機器が備えられており、それらを実際に使用できる状態であることを示す写真や証拠が求められる。
- 契約名義:賃貸借契約や使用契約が、法人名義(または会社名義)になっていることが望ましい。
- 看板・表札:会社名が表示された看板や表札を入口などに設置し、事業所としての外形があることが評価されるケースもあります。
バーチャルオフィス(住所貸しのみ)は認められるか?
結論:原則不可。バーチャルオフィスのみでは、事業所要件を満たすのは非常に厳しい/不適格と判断される可能性が高い。
その理由を以下に整理します。
- 実体(物理空間)がない
- “虚構の住所(住所貸しのみ)”は、実際の事業活動拠点とはみなされにくい。入管は「実際に業務を行える場所」、つまり独立した事業所を重視します。
- ガイドライン・実務の判断根拠
- JETROも “非物理的なバーチャルオフィスや共有オープンスペース(コワーキングなど)” は、独立性・継続性の観点で不適格とされる可能性が高いとしています。
- 法務省・入管の運用でも、実地調査を通じてオフィスの実態(看板、設備、契約名義など)が確認されることがあります。
- 改正後の厳格化
- 2025年10月16日以降の改正で、事務所要件に関する審査はより厳しくなっています。自宅兼オフィスは原則不可とされ、実体のある事務所の確保が強く求められます。
- 専門的な評価を受ける事業計画書の提出義務など、事業の「実在性」「継続性」を裏付ける証拠資料の重要性が高まっています。
リスク
バーチャルオフィスだけでビザ申請を進める場合、以下のようなリスクがあります。
- 入管による拒否の可能性が高い:実態のない住所だけでは「事業所確保要件」を満たさないと判断され、在留資格が不許可となるリスクが大きい。
- 実地調査:審査官がオフィスの実態確認(写真・訪問など)を行う可能性があり、バーチャルオフィスでは説明が不十分となる。
- 将来の更新で不利になる:ビザ取得時だけでなく、更新時にも事業継続性や事業所の実態が審査されるため、ペーパーカンパニー(実態のない会社)とみなされると更新で拒否される懸念がある。
代替案・対策
バーチャルオフィスが使えずとも、コストを抑えながら適切な事務所を確保する方法や、事業所要件を満たすための具体的な工夫があります。
- レンタルオフィス(専用・個室タイプ)を利用
- 独立した個室や鍵付きの部屋があるレンタルオフィスは、入管審査で「独立性」の証明がしやすく、許可例が多い。
- 契約名義を会社名にして、電話・PC・プリンタなどを設置し、実際に使用していることを示す写真を用意する。
- 自宅兼オフィス(原則不可だが、ただし条件付き可能性あり)
- 自宅の一部を事業所として使う場合、居住空間と業務スペースを明確に分離し、入口が別・看板設置・機器の設置など実体を示す工夫が必要。
- 賃貸契約書に「事業用途(会社のオフィス)」の特約を入れる、貸主から使用承諾を得るなど、契約上の裏付けを整備。
- 専門家(行政書士・中小企業診断士等)への相談
- 事業計画書を中小企業診断士・公認会計士・税理士などに評価してもらい、書面で評価を得る。これにより、入管に「実在性・信頼性」がより強くアピールできます。
- オフィス選び・賃貸契約・契約名義・必要な備品・証拠資料の準備など、実践的なアドバイスを受ける。
よくある Q&A
| 質問 | 回答 |
|---|---|
| バーチャルオフィスだけでビザは取れますか? | 原則として非常に難しいです。実体のあるオフィスが求められます。 |
| レンタルオフィスのデスク契約では通りますか? | オープンスペース型は難しく、鍵付き個室など独立性があるタイプなら可能性があります。 |
| 自宅兼事務所は絶対ダメですか? | 完全に否定されるわけではありませんが、居住空間と事業空間の明確な区分、契約・実態の裏付けが必要です。 |
| 証拠として何を提出すればいいですか? | 賃貸契約書(会社名義)、内装・設備写真、公共料金の領収書、看板・表札、事業計画評価書などが重要です。 |
| 2025年改正で何が変わりましたか? | 資本金基準や職員数、オフィスの実態要件が厳格化され、自宅をそのままオフィスとする運用は原則不可となりました。 |
結論(まとめ)
- バーチャルオフィス(住所貸しのみ)では、経営・管理ビザの事業所要件を満たすのは非常に難しい。
- 法令・実務の両面で、**実体ある独立オフィス(物理的スペース)**が求められており、特に2025年の改正後は審査がより厳格化。
- コストを抑えつつ要件をクリアするには、レンタルオフィス、自宅兼オフィス(条件付き)などを検討。
- また、書類準備(契約、設備、写真、事業計画)には専門家の支援を受けるのが非常に有効。
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参考リンク
![]() 「記事監修」 加納行政書士事務所 運営HP:ビザ申請サポートNavi https://visasupportnavi.net/ 代表 特定行政書士 加納 裕之 「学歴」 同志社大学大学院法学研究科公法学専攻博士前期課程修了(修士(法学)) 明治大学法科大学院修了 「資格」 行政書士(特定付記)、TOEIC805点 「専門分野」 入管取次・ビザ申請、在留資格、永住・帰化、外国人問題、国際公法 |
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