【永住者が帰化申請するメリット】永住との違いから手続き・注意点まで徹底解説
この記事でわかること
- 永住者が「帰化」するメリット・デメリット
- 永住ビザと日本国籍(帰化)の違い
- 帰化申請の流れと必要書類
- 永住者が帰化申請する際の注意点
- よくある質問(Q&A)
目次
1.永住者が帰化申請するメリットとは?
永住者はすでに日本で安定して暮らせる地位を持っていますが、
それでも 帰化申請(日本国籍取得)には多くのメリットがあります。
(1)日本国籍になることで「在留資格の制限」が完全に消える
永住者は在留期限はありませんが、以下のような制約があります。
- 在留カード更新(7年ごと)
- 一定の犯罪・税金未納・生活保護受給などがあると、永住取消の可能性
- 出国して長期間(原則5年以上)日本に戻らないと永住資格消滅
帰化すると、日本国籍になるため上記すべてがなくなります。
これは日常生活では大きな安心材料となり、将来の不安が大幅に減ります。
(2)選挙権・被選挙権を持てる(政治参加が可能)
永住者には 選挙権がありません。
帰化して日本国籍を取得すると、
- 衆議院・参議院・地方選挙の「選挙権」
- 公職に立候補できる「被選挙権」
を取得できます。
「日本社会の一員として政治参加できる」ことは、
帰化メリットの中でも大きなポイントです。
(3)公務員・自衛隊など国籍要件のある職業に就ける
永住者でも公務員になれる職種は一部ありますが、
多くの国家公務員・地方公務員は日本国籍が必須です。
帰化すると、以下の職業も選択肢になります。
- 国家公務員(総合職・一般職など)
- 地方公務員(正規採用)
- 自衛官
- 警察官・消防士
- 裁判官・検察官・弁護士(司法試験は受験可能だが、登録には国籍要件がある場合あり)
将来、子どもが公務員になりたい場合などにもメリットがあります。
(4)海外渡航・再入国が自由に(パスポートのメリット)
永住者が使うのは 母国のパスポート+日本の再入国許可 です。
帰化すると、
世界最強レベルと言われる「日本国パスポート」
を取得できます。
- ビザなしで渡航できる国が大幅に増える
- 再入国許可が不要
- 日本政府の保護を受けられる(領事館支援)
海外出張・旅行が多い方は特にメリットが大きいです。
(5)家族の在留資格の安定につながる
永住者の配偶者や子どものビザは、家族の状況に左右されることがあります。
しかし帰化し日本国籍を取得すると、
- 配偶者 →「日本人の配偶者等」
- 子ども →出生で日本国籍取得(条件あり)
など、家族の在留も安定しやすくなります。
(6)相続や戸籍手続きが簡素化される
永住者は 母国の相続制度と日本の制度が交錯し、手続きが複雑 になる場合があります。
帰化すると
- 戸籍に記録
- 相続・遺言・手続きが日本法で統一
されるため、実務上の負担が大幅に減ります。
2.永住者が帰化申請するデメリット
メリットだけでなく、以下のデメリットも理解しておきましょう。
(1)母国籍の喪失が基本
日本は原則二重国籍を認めていないため、
帰化すると母国籍を失います。
母国の不動産・相続・兵役義務など、国籍喪失によるデメリットがある国もあります。
(2)帰化申請には時間がかかる(1年〜1年半)
永住者の帰化申請でも、
約1年〜18ヶ月 かかるのが一般的です。
仕事・家族状況・税金履歴によっては更に長期化します。
(3)審査が厳しい(特に納税・交通違反)
永住より帰化の方が審査は厳しく、
- 税金滞納
- 交通違反が多い
- 収入が不安定
などは審査に影響します。
3.永住ビザと帰化(日本国籍)の違い
| 項目 | 永住ビザ | 帰化(日本国籍) |
|---|---|---|
| 在留期間 | 無期限 | 日本国籍のため無制限 |
| 国籍 | 外国籍のまま | 日本国籍 |
| 選挙権 | × | 〇 |
| 公務員 | 一部のみ | 全て可能 |
| パスポート | 母国 | 日本パスポート |
| 再入国許可 | 必要 | 不要 |
| 永住取消 | あり | なし |
| 審査難易度 | 中 | 高 |
4.永住者が帰化申請する場合の必要要件
永住者はすでに日本に長期滞在しているため、
一般の帰化申請よりは要件が緩和される傾向があります。
主な要件
- 引き続き5年以上日本在住(永住者はほぼクリア)
- 生活が安定(収入・貯金)
- 税金の納付状況が完全に良好(最重要)
- 素行善良(交通違反が多いと不利)
- 日本語能力(N2相当以上が目安)
- 国籍離脱の意思
5.永住者の帰化申請の流れ
STEP1:法務局で相談(予約)
帰化は 本人申請のみ。行政書士が代理申請できないため、必ず本人が法務局へ行きます。
STEP2:必要書類の収集
- 在留カード
- パスポート
- 住民票
- 課税証明書
- 納税証明書
- 勤務証明(源泉徴収票)
- 家族関係書類
- 国籍関係書類(母国の証明書)
STEP3:帰化の動機書など作成
帰化申請のポイントとなる書類。
STEP4:面談
生活状況や家族との関係、日本語能力などが確認されます。
STEP5:審査(1年〜1年半)
STEP6:官報告示 →日本国籍取得 →役所手続き
戸籍の作成、在留カード返納、パスポート申請など。
6.永住者が帰化申請する際の注意点
(1)税金の未納は即アウト
永住より厳しいため、1年でも未納があると帰化は難しいです。
(2)交通違反が多いと不利
軽微な違反でも、年に何回もあると不利になります。
(3)家族の状況も審査対象
特に配偶者・子どもの滞在状況、家計の安定性が確認されます。
(4)母国籍喪失の影響を必ず確認
国によっては
- 不動産所有権
- 相続
- 年金
- 兵役義務
が影響します。
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8.参考リンク
9.Q&A(よくある質問)
Q1:永住者は帰化が簡単になりますか?
永住を持っている分、日本での生活基盤が評価されますが、
審査は永住より厳しいです。
Q2:帰化すると母国のパスポートは使えますか?
いいえ。多くの国では 日本国籍取得と同時に母国籍を喪失 します。
Q3:永住を持っていても帰化が不許可になるのはどんな場合?
- 税金未納
- 交通違反が多い
- 収入が不安定
- 虚偽申請
などは不許可の原因になります。
Q4:永住と帰化はどちらが良いですか?
目的によります。
- 安定した生活+日本国籍を取得したい → 帰化
- 母国籍を維持しつつ長期滞在したい → 永住のまま
まとめ:永住者が帰化する最大メリットは「一生涯の安心」
永住者が帰化すると、
- 在留資格の一切の制限がなくなる
- 永住取消リスクがゼロ
- 日本パスポート取得
- 選挙権・公務員など権利が拡大
- 手続き・法的安定性が向上
と、生活面でも将来の安心面でも大きなメリットがあります。
この記事を参考に、
あなたの人生プランに合わせた最適な選択をしてみてください。
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![]() 「記事監修」 加納行政書士事務所 運営HP:ビザ申請サポートNavi https://visasupportnavi.net/ 代表 特定行政書士 加納 裕之 「学歴」 同志社大学大学院法学研究科公法学専攻博士前期課程修了(修士(法学)) 明治大学法科大学院修了 「資格」 行政書士(特定付記)、TOEIC805点 「専門分野」 入管取次・ビザ申請、在留資格、永住・帰化、外国人問題、国際公法 |

