永住ビザ特例|貢献者が5年・3年で申請可能な条件と実務ポイント

我が国への貢献があると認められる者とは?(永住許可特例の概要)

日本では、永住許可(永住ビザ)を申請する際に、原則的には 継続して10年 日本に在留しているという要件があります。
しかし、「我が国への貢献があると認められる者」に対しては、この在留期間要件が 大幅に緩和される特例があります。

この特例は、主に以下の2類型に分かれます。

  1. 外交・社会・経済・文化等の分野で我が国への貢献が認められる者
  2. 法律で定められた一定の活動(特定活動)を通じて貢献がある者

在留期間(住居要件)の短縮 ― 必要な在留年数

「我が国への貢献があると認められる者」の永住許可要件に関して、具体的な在留期間は以下の通り定められています。

分類必要とされる在留期間(住居要件)継続在留の必要性
外交・社会・経済・文化等の分野で貢献がある者5年以上本邦に在留 「継続して」でなくてもよい(通算在留で可)という緩和あり。
法律で定められた一定活動(特定活動告示に該当)3年以上継続して在留

たとえば、永住許可に関するガイドライン(令和7年10月30日改訂)にも、5年および3年という要件が明記されています。
また、地方再生プロジェクトなど特定活動(告示36号・37号)を通じて貢献しているケースでは、3年以上の継続在留による特例が適用されるとされています。


「我が国への貢献」の具体例 ― どういう活動が該当するか

「我が国への貢献があると認められる者」の判断では、法務省の 我が国への貢献に関するガイドライン が鍵となります。
具体的には以下のような例があります。

  1. 各分野共通の基準
    • 国際的に権威ある賞の受賞(例:ノーベル賞、フィールズ賞、プリッカー賞、レジオンドヌール勲章など)
    • 日本からの勲章・褒章(国民栄誉賞、文化勲章、褒章など)を受けた者
    • 公共の利益を目的とする活動を おおむね3年以上 継続している者(日本政府・自治体から委員など)
    • 医療、教育、研究、文化、スポーツなどの分野で、日本社会または地域社会に「著しい貢献」がある者
  2. 特定活動による貢献
    • 地域再生法(地域再生計画)に関連した特定活動(告示36号または37号)を行う者。
    • 例えば、地域再生プロジェクトに属する企業や公共機関での活動など。

これらの要件を満たすかどうかは、単なる形式ではなく 実質的な貢献の内容・インパクト が重要になります。申請書で具体的な「貢献の効果・影響」を論証することが重要です。


永住審査でのポイント(許可/不許可を左右する要素)

「貢献があると認められる」特例で永住を目指す際には、以下のようなポイントが、申請の可否に大きく影響します。

  1. 客観的な実績・証拠
     単に「私は◯◯をやってきた」という主張だけでなく、具体的な成果(論文、プロジェクト実績、受賞歴、委嘱の履歴など)を示す必要があります。
  2. 継続性・影響力
     貢献が一過性のものではなく、継続的に社会・経済・文化などに影響を与えているか、その影響がどれほど大きいか。入管は「増進・向上・発展」といった視点で評価します。
  3. 在留形態・滞在ステータス
     例えば、最長の在留期間を持つビザ(3年、5年など)を所持しているかがチェックされます。
  4. 公的義務の履行
     納税義務など、公的な義務を適切に果たしていることが必要です。
  5. 行政書類の整備
     申請書類、身元保証書、疎明資料などを適切に準備すること。また、「我が国への貢献」ガイドラインに沿った説明が非常に重要です。
  6. 法令遵守
     公衆衛生上の問題がないこと、不法行為がないことなど、法令違反歴の有無も審査に影響を与えます。

メリットとリスク ― 特例を使った永住申請の考え方

メリット

  • 在留年数が短くて済む:通常の10年よりもずっと早く永住が申請可能。
  • 柔軟な在留形態:継続在留の要件が緩和されるケースもあり(通算在留で可)。
  • 安定性の確保:永住許可が下りれば、在留資格を気にせず日本での生活・活動を継続できる。

リスク/注意点

  • 審査が厳格:貢献実績の実質的な評価が重視され、形式だけでは認められない可能性がある。
  • 書類準備が大変:疎明資料・推薦状・報告書など、多くの資料が必要。
  • 不許可リスク:貢献が認められなかった場合、特例が使えず10年要件に戻る。
  • 長期出国への配慮:通算在留が許容される場合でも、長期出国が評価にどう影響するかは専門家と相談が必要。

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Q&A:よくある質問

Q1. 「我が国への貢献」とは具体的にどこまで認められますか?
A1. 法務省のガイドラインにより、国際的な賞(ノーベル賞など)、日本政府からの勲章・褒章、公的な委員活動、日本社会への医療・教育・研究の貢献などが挙げられています。
ただし、形式よりも 実質的な影響・持続性 が重要。申請時には具体的な成果や客観的証拠が求められます。

Q2. 5年在留の「5年」とは、連続している必要がありますか?
A2. 特例(外交・文化・経済・社会分野の場合)では、「継続して」ではなく 通算5年 在留でも要件を満たすことができます。
つまり、一時的な出国があっても、通算で5年以上滞在実績があれば申請可能なケースがあります。

Q3. 特定活動(告示36号・37号)による3年在留の特例とは何ですか?
A3. 地域再生等の特定の活動を行っている外国人(告示36号または37号に該当)で、かつその活動を通じて “我が国への貢献” と認められる場合、3年以上 継続して 日本に在留していれば永住申請の住居要件を満たします。
このような緩和措置は地域再生政策や構造改革の一環として導入されてきたものです。

Q4. 永住申請が却下された場合は再チャレンジできますか?
A4. はい。ただし “我が国への貢献” の特例を狙う場合、再申請時には 新たな/強化された証拠 を提出する必要があります。特に実績の裏付け(受賞、論文、社会貢献)をより明確に示すことが重要です。

Q5. 申請にあたって専門家に相談すべきですか?
A5. 強くおすすめします。行政書士や専門のビザサポート会社は、ガイドラインに即した論証構成、必要書類の整理、公的機関とのやり取りなどに精通しており、成功確率を高める支援が可能です。


結論と実務アドバイス

  • 結論:外交・社会・経済・文化などで日本への貢献が認められる場合、通常の10年要件が 5年 に短縮される特例があります。さらに、特定活動(地域再生など)に該当すれば 3年 在留で永住申請可能な道もあります。
  • 実務アドバイス
    1. 自分がガイドラインのどのカテゴリーに該当するかを精査
      → ノーベル賞級?公共活動?研究?など。
    2. 実績の証拠を集める
      → 受賞証明、報告書、推薦状、活動報告、メディア掲載など。
    3. 在留歴の整理
      → 通算在留が許されるなら過去の出国も記録。
    4. 専門家(行政書士など)を活用
      → 入管の運用、過去事例、不許可リスクなども踏まえた戦略づくり。
    5. 申請タイミングを戦略的に考える
      → 5年経過を待つ/3年特定活動を経る/在留資格を最長に更新するなど。

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     「記事監修」 加納行政書士事務所 運営HP:ビザ申請サポートNavi https://visasupportnavi.net/ 代表 特定行政書士 加納 裕之 「学歴」  同志社大学大学院法学研究科公法学専攻博士前期課程修了(修士(法学))  明治大学法科大学院修了 「資格」  行政書士(特定付記)、TOEIC805点 「専門分野」  入管取次・ビザ申請、在留資格、永住・帰化、外国人問題、国際公法
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     行政書士(特定付記)、TOEIC805点
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