介護分野で取得できる就労ビザまとめ|必要要件と注意点
外国人が日本の介護分野で働くために取得できる在留資格は複数あります。しかし、制度改正に伴って 特定技能2号が11分野に拡大された ことで、
「介護も2号の対象なのでは?」
という誤った情報が広がりやすくなっています。
結論:介護分野は特定技能2号の対象ではありません。
本記事では、2025年時点で外国人が介護現場で働ける全ての在留資格を、専門家目線でわかりやすく解説します。
目次
1|介護分野で働ける就労ビザ一覧
2025年現在、介護の現場で働ける在留資格は次の4つのみです。
| 在留資格 | 必要資格・条件 | 家族帯同 | 在留期間 | 備考 |
|---|---|---|---|---|
| 介護(在留資格「介護」) | 国家資格:介護福祉士 | ◎可能 | 更新制 | 最も安定した介護ビザ |
| 特定技能1号(介護) | 技能試験+日本語試験 | ×不可 | 最長5年 | 最も利用者が多い |
| 技能実習(介護) | 実習計画の認定 | ×不可 | 最長5年 | 就労目的ではない制度 |
| EPA介護福祉士候補者 | 条約要件 | 条件付き可 | 条約に基づく | 国家試験合格が必要 |
2|在留資格「介護」|介護福祉士が働ける専門ビザ
「介護」は、介護福祉士の国家資格を持つ外国人が取得できる就労ビザです。
対象となる業務
- 身体介護
- 生活援助
- 介護記録
- レクリエーション
- 相談援助
- 施設運営補助
ほぼすべての介護業務が可能です。
取得方法
- 日本の介護福祉士養成校を卒業
- EPA候補者として来日し国家試験に合格
- 特定技能1号からステップアップして国家試験合格
メリット
- 家族帯同が可能
- 永住申請に有利
- 転職も自由
- 安定した長期雇用が可能
介護分野の中で最も待遇が安定した在留資格です。
3|特定技能1号(介護)|現場で最も利用される即戦力ビザ
介護業界で最も人数が多いのが 特定技能1号(介護) です。
必要条件
- 介護技能測定試験(介護技能評価試験)合格
- 日本語試験(N4以上)合格
資格がなくても働ける点が魅力です。
業務範囲
- 身体介護
- 生活援助
- 介護施設での業務全般
- 記録業務(日本語レベルによる)
限界点(重要)
- 在留は最長5年まで
- 家族帯同不可
- 特定技能2号への移行はできない(介護分野は対象外)
長期で働くには国家試験に合格し、「在留資格・介護」への変更が必要です。
4|技能実習(介護)|実習を通じて技能を習得する制度
技能実習は「労働力確保」ではなく、開発途上国への技術移転が目的です。
期間
- 技能実習1号:1年
- 技能実習2号:2年
- 技能実習3号:2年
→ 最大 5年
メリット
- 特定技能1号の試験免除
- 実務経験を積める
注意点
- 実習計画が不適切だと不認定
- 監理団体の実績不足は不許可の原因に
- 実習生に過度な業務をさせると違法
実務を学ぶ目的であり、就労とは異なる点に注意が必要です。
5|EPA介護福祉士候補者(インドネシア/フィリピン/ベトナム)
経済連携協定(EPA)により、日本で介護福祉士を目指す制度です。
流れ
- 来日前研修
- 日本の施設で勤務
- 国家試験受験
- 合格 → 在留資格「介護」
メリット
- 学費を払わずに介護福祉士を目指せる
- 国家資格取得後は長期就労可
6|特定技能2号は「11分野」介護は対象外
2024〜2025年の制度改正により、特定技能2号は 2分野 → 11分野 に拡大されました。
特定技能2号の11分野
- 建設
- 造船・舶用工業
- 自動車整備
- 航空
- ビルクリーニング
- 素形材産業
- 産業機械製造
- 電気電子情報関連
- 宿泊
- 農業
- 漁業
- 飲食料品製造業
- 外食業
※構成省庁の資料により名称の分け方に差がありますが、「介護」が含まれない点は共通。
介護分野は2号の対象外
理由は明確です。
- 介護分野は「在留資格・介護」が存在し、長期就労ルートが別に用意されている
- 高度な技能業務は国家資格(介護福祉士)に一本化されている
そのため、
「特定技能1号介護 → 特定技能2号」への移行は制度上不可能。
7|介護分野4つの在留資格の比較表
| 在留資格 | 資格要件 | 家族帯同 | 在留年数 | 永住可能性 | 雇用の自由度 |
|---|---|---|---|---|---|
| 介護 | 介護福祉士 | ◎可 | 更新制 | ◎有利 | 高い |
| 特定技能1号 | 試験合格 | ×不可 | 最長5年 | △ | 普通 |
| 技能実習 | 実習計画 | ×不可 | 最長5年 | × | 低い |
| EPA候補者 | 条約要件 | ×不可 | 条約次第 | 〇(合格後) | 中 |
8|ケース別おすすめビザ
長く日本で働きたい
→ 在留資格「介護」(介護福祉士)
資格がないがすぐ働きたい
→ 特定技能1号
実習生として経験を積みたい
→ 技能実習(介護) → 特定技能1号 → 介護
国家資格を施設サポートで取りたい
→ EPA候補者
9|不許可になりやすい5つのポイント
- 業務内容が在留資格と一致していない
- 給与が日本人と同等でない
- 人員配置基準を満たさない施設
- 特定技能支援計画が不十分
- 技能実習での違反歴がある施設
10|Q&A
Q1:特定技能1号から介護ビザに変更できますか?
→ 可能。介護福祉士国家試験に合格すればOK。
Q2:特定技能1号は最長5年ですが、その後は?
→ 原則帰国。しかし国家試験に合格すれば「介護」で継続可能。
Q3:EPA候補者は国家試験に落ちたら?
→ 原則帰国。
Q4:家族帯同できるビザは?
→ 在留資格「介護」だけ。
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![]() 「記事監修」 加納行政書士事務所 運営HP:ビザ申請サポートNavi https://visasupportnavi.net/ 代表 特定行政書士 加納 裕之 「学歴」 同志社大学大学院法学研究科公法学専攻博士前期課程修了(修士(法学)) 明治大学法科大学院修了 「資格」 行政書士(特定付記)、TOEIC805点 「専門分野」 入管取次・ビザ申請、在留資格、永住・帰化、外国人問題、国際公法 |

