技術・人文知識・国際業務ビザの給与・職務条件|適正給与・職務内容・注意点を徹底解説
**在留資格「技術・人文知識・国際業務」(通称:技人国ビザ)**は、日本の就労ビザの中でも最も申請件数が多く、ITエンジニア・営業・事務・翻訳通訳・デザイナーなど幅広い職種に利用されています。
しかし…
・ 給与が低いと不許可になるの?
・ 職務内容はどこまで細かく書くべき?
・ 専門性の要件は?
・ 新卒採用の場合の注意点は?
といった相談が非常に多く、特に 「給与」 と 「職務内容の適合性」 は審査の最重要ポイントです。
この記事では、行政書士が実務ベースで、審査に強い給与基準・職務内容の書き方・注意点を徹底解説します。
目次
1|技術・人文知識・国際業務ビザとは?
技術系(ITエンジニア等)、文系専門職(営業・マーケティング・総務等)、国際業務(通訳・広報等)に従事する外国人のための就労ビザです。
特に重要な要件は3つ:
1. 学歴または職歴が専門性と合致している
2. 専門性のある業務に従事する
3. 日本人と同等額以上の給与を受ける
特に 給与と職務内容 は直接的に不許可に影響します。
2|技人国ビザにおける「給与基準」の考え方
基本は「同等業務の日本人と同等額以上」
出入国在留管理庁は次のように明示しています。
外国人だからといって、日本人より低い給与を設定してはいけない。
つまり、最低賃金のような固定基準ではなく、
「同じレベルの日本人社員の給与」と比較して妥当かどうかで決定されます。
実務上の合格ライン(目安)
| 職種 | 給与の目安(実務) |
|---|---|
| ITエンジニア(未経験含) | 月給23万円〜28万円 |
| 営業・事務・マーケティング等 | 月給22万円〜26万円 |
| 通訳・翻訳・海外営業 | 月給23万円〜28万円 |
| デザイナー・制作職 | 月給22万円〜26万円 |
※地域・業種により変動
昇給があると審査に強い
・毎年昇給
・賞与支給
・社会保険加入
これらがあると、安定的で適正な雇用環境と判断されやすくなります。
3|給与額が低いと不許可になる理由
- 日本人と比べて低い給与 → 不当な処遇と判断される
- 生活が不安定と判断される
- 事業規模が小さく、雇用実態が不明確だと評価される
特に次のケースは危険です。
・ 月給20万円以下
・年収260万円以下
・ 最低賃金近い給与設定
・ 賞与なし・昇給なし
4|職務内容の適合性(専攻・経験との関連性)
技人国ビザの審査で最も重要なポイントの一つが **「専攻・職歴と業務の関連性」**です。
大学専攻との関連
例:情報工学 → ITエンジニア(適合)
例:経済学 → 営業・マーケティング(適合)
例:外国語学 → 翻訳・通訳・海外営業(適合)
関連性が弱いと不許可になりやすい
× 文学部なのにプログラマー(未経験)
× 経営学なのにデザイン業務
5|新卒採用の場合の注意点
新卒の外国人を採用する企業は増えていますが、次の点が特に重要です。
・ 仕事内容を詳細に説明する
・ 社内の研修制度を書面化
・ 日本人新卒社員との給与比較
「新卒は給与が低い」という企業は多いですが、
外国人だけ特別に低い給与は不許可原因になります。
6|在留期間(1年/3年/5年)と給与・職務条件の関係
在留期間は 安定性の指標であり、給与や雇用条件が影響します。
5年が付くケース
・大企業
・給与水準が高い
・離職率が低い
・社会保険完備
・安定した財務状況
3年が付くケース
・一般的な中小企業
・給与・待遇が標準〜良好
1年になるケース(注意)
・ 給与が低い
・ 業務内容が曖昧
・ 業績が不安定
・ 社会保険未加入(最悪不許可)
7|技人国ビザでよくある不許可事例
以下は実務で多いケースです。
給与設定が低く、理由の説明が不十分
業務内容が「総合職」「事務」など抽象的
専攻との関連が弱い
日本語能力が職務に必要なのに説明不足
社会保険未加入
雇用契約書が不備
8|審査に強くなるための資料作成ポイント
企業側が準備すべき資料は次の通り。
業務内容説明書(詳細)
事業計画書または会社概要
給与の合理性を説明する文書
研修制度の説明
これらが揃うと、不許可リスクは大幅に低減します。
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10|参考リンク
11|技術・人文知識・国際業務ビザの給与・職務条件 Q&A
Q1. 給与は最低いくら必要ですか?
A. 法務省は明確な金額を出していませんが、実務では 月給22万円以上 が安全です。
Q2. 賞与がなくてもビザは許可されますか?
A. 賞与がなくても許可されます。ただし、給与が低い場合は不利です。
Q3. 新卒採用で給与20万円でも許可されますか?
A. 業種・地域によっては許可されますが、根拠説明が必須です。
Q4. 専攻と全く違う仕事をさせたい場合は?
A. 原則不許可。
例外は「職歴3年以上」などですが、詳細な立証が必要です。
Q5. アルバイト雇用から正社員に切り替えて申請できますか?
A. 可能。
ただし、アルバイト時代の業務が単純労働でないことが重要です。
12|まとめ
技術・人文知識・国際業務ビザは、
「給与」と「職務内容の専門性」 が審査の最重要ポイントです。
・ 日本人と同等以上の給与
・ 専攻・職歴と業務内容の適合性
・ 会社側の安定性
・ 具体的な職務内容の説明
・ 社会保険加入
これらを満たすことで、不許可リスクは大幅に下がり、
3年・5年の長期在留も取得しやすくなります。
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![]() 「記事監修」 加納行政書士事務所 運営HP:ビザ申請サポートNavi https://visasupportnavi.net/ 代表 特定行政書士 加納 裕之 「学歴」 同志社大学大学院法学研究科公法学専攻博士前期課程修了(修士(法学)) 明治大学法科大学院修了 「資格」 行政書士(特定付記)、TOEIC805点 「専門分野」 入管取次・ビザ申請、在留資格、永住・帰化、外国人問題、国際公法 |

