外国人の転職と在留期間|短くなるケース・長くなるケースを徹底解説
在留資格の更新審査ポイント・注意点を専門家が解説
目次
1.転職すると在留期間はどう変わる?
結論から言うと、
転職しても、在留期間そのものが自動的に変わることはありません。
しかし、
・ 次の更新時に「在留期間が短くなる」
・ 更新が不許可になることがある
という点が大きな注意点です。
とくに以下の在留資格は「業務内容との適合性」が厳しく見られるため、転職の影響が大きく出ます。
- 技術・人文知識・国際業務ビザ
- 介護ビザ
- 技能ビザ
- 経営管理ビザ(転職というより事業変更)
- 特定技能(分野との適合)
ポイント
在留期間は「資格ごと」に付与されるため、転職で業務内容が合わなければ、そもそも更新不可となります。
2.就労ビザの種類と「転職時に影響を受ける在留資格」
就労ビザは、職務内容と資格要件が厳密に紐づいています。
転職の影響が大きいビザ
- 技術・人文知識・国際業務(最も多い)
- 技能(熟練性が限定される)
- 介護(介護業務かどうか)
- 特定技能(14→16分野に拡大、分野変更は原則不可)
比較的影響が小さいビザ
- 日本人の配偶者等
- 永住者
- 定住者
※就労制限がないため、転職しても在留期間へ影響はありません。
3.転職後に必要な手続き(提出期限と罰則)
転職後は以下の手続きを忘れずに行う必要があります。
① 退職後は14日以内に「契約機関に関する届出(退職届)」を提出
提出期限:14日以内(法律で義務化)
書類:
- 契約機関に関する届出(様式:出入国在留管理庁サイトにあり)
② 新しい会社に入社後も14日以内に「契約開始の届出」
こちらも 14日以内 に提出。
③ 期限を守らないと?
- 不許可理由にされる
- 在留期間を短くされる
- 悪質だと「在留資格取消処分」の対象
特に、留学生から就職に変更した外国人は「届出義務違反」が非常に重く評価されます。
4.転職で在留期間が短くなるケース(要注意)
(1)業務内容がビザと合っていない
例:マーケティング→コンビニ店員
※技人国ビザでは不可
(2)会社規模が小さくなった
在留期間は会社の安定性も審査対象です。
- 小規模企業
- 経営者の経験不足
- 外国人採用の理由不足
→ 1年更新になりやすい
(3)過去に届出を怠った
退職届が出ていないと、
「半年間無職扱い」になることもあります。
(4)転職回数が多い
2年で3回転職などは「計画性に欠ける」と判断されます。
(5)給与が下がる
給与=生活の安定性
→ 永住申請にも影響します。
5.転職で在留期間が長くなるケース(チャンス)
逆に、以下に該当すると 3年・5年の長期在留期間 が付与される可能性があります。
(1)学歴・業務内容・経験が完全一致
例:大学で情報工学 → ITエンジニア勤務 → 同職種で転職
→ 技人国として最も評価が高いパターン
(2)会社規模が大きく信用度が高い
- 上場企業
- 従業員100名以上
- 社会保険加入が確実
- 外国人社員の管理体制が整っている
(3)給与が上がる
年収アップは在留期間の加点項目です。
(4)転職回数が少なく、仕事が安定
継続性と安定性が高いと評価されます。
6.転職後の在留期間更新で見られる審査ポイント
(1)業務内容がビザ要件と一致するか
技人国では最重要。
「専門性のある業務」かどうかがポイント。
(2)会社の安定性
- 決算書
- 社会保険加入
- 外国人雇用管理体制
これらが整っていない会社へ転職すると、在留期間が短くなります。
(3)給与の妥当性
最低ライン:
日本人と同等以上(地域と業種に応じる)
(4)転職理由の合理性
「キャリアアップ」や「職務内容が近い」が好印象。
(5)届出状況
提出漏れがあると即マイナス。
(6)過去の在留状況
- 税金未納
- 年金未納
- 社会保険加入逃れ
などがあると不利。
7.転職で不許可になる主な理由
業務内容がビザの対象外
技人国で作業員・サービス業は不可。
無職期間が長い(3か月超)
正当な理由(病気・留学準備など)が必要。
新しい会社の経営不安
赤字決算や社会保険未加入は厳しい。
給与が低すぎる
特にITエンジニアで年収250万などは不許可リスクが高い。
届出違反
最も多い不許可理由。
8.転職が「永住申請」に与える影響
永住に不利
- 転職回数が多い
- 無職期間がある
- 給与が下がった
永住に有利
- 給与アップ
- 大企業への転職
- 業務内容の一貫性
9.よくあるQ&A(専門家が回答)
Q1:転職したら、ビザを変更する必要がありますか?
A:同じ業務内容なら不要です。
ただし、業務内容が異なる場合は変更申請が必要になることもあります。
Q2:転職後、いつ更新申請すれば良い?
A:在留カードの期限3か月前から可能です。
Q3:転職で在留期間は短くなりますか?
A:会社規模や業務内容次第で短くなるケースは多いです。
Q4:転職が永住申請に悪影響ですか?
A:回数が多い場合は悪影響ですが、キャリアアップなら問題ありません。
Q5:届出を忘れたらどうなりますか?
A:更新が不許可になる可能性があります。
必ず14日以内に提出しましょう。
10.関連記事
- 【完全ガイド】外国人ITエンジニアを採用する企業が知っておくべき在留資格の基礎
- 飲食業経営者向け|外国人を雇用するためのビザ手続きと注意点【完全ガイド】
- 専門学校で留学するには?留学ビザ申請の必要書類・条件・注意点を徹底解説
11.まとめ
転職自体は問題ありませんが、
更新時の審査で在留期間が変わる ことが最大の注意点です。
転職で在留期間が短くなる要因
- 業務内容が適合しない
- 会社規模が小さい
- 給与が下がる
- 届出違反
- 無職期間がある
- 転職回数が多い
転職で在留期間が長くなる要因
- 業務内容が完全一致
- 大企業に転職
- 給与アップ
- 安定したキャリア形成
転職の前に、
・ 業務内容の適合性
・ 新しい会社の安定性
・ 届出の期限
をチェックすることが最も重要です。
参考リンク
無料相談
| まずは、無料相談に、お気軽にお申込み下さい。ご相談の申し込みは、「お問い合わせページ」から承っております。なお、無料相談は事前予約制とさせて頂いています。 |
![]() 「記事監修」 加納行政書士事務所 運営HP:ビザ申請サポートNavi https://visasupportnavi.net/ 代表 特定行政書士 加納 裕之 「学歴」 同志社大学大学院法学研究科公法学専攻博士前期課程修了(修士(法学)) 明治大学法科大学院修了 「資格」 行政書士(特定付記)、TOEIC805点 「専門分野」 入管取次・ビザ申請、在留資格、永住・帰化、外国人問題、国際公法 |

