コンビニで働いている外国人の在留資格とは?― 日本国内のコンビニ業界と外国人労働の現状から理解する
目次
はじめに
人口減少・少子高齢化が進む日本では、店舗サービス業、特にコンビニエンスストア業界においても、外国人労働者の活用が重要なテーマとなっています。この記事では、外国人がコンビニで働く際にどのような在留資格(ビザ)があるか、またその注意点・手続き・雇用側のポイントを、最新情報をもとに解説します。
1. コンビニ業務と「在留資格」の関係
1-1 コンビニの業務内容とは
コンビニエンスストアでは、主に次のような業務が行われています。
- レジ打ち・接客対応
- 商品陳列・補充・品出し
- 店内清掃・バックヤード作業
- 発注・在庫管理・売上入力・店舗オペレーション補助
これらは「現場(作業)業務」「店舗サービス業務」と分類されることが多く、専門知識・高度な技術を必要としない単純・反復作業も多く含まれます。
1-2 在留資格(ビザ)との関係性
日本に滞在する外国人が働くには、基本的に以下のどちらかが必要です。
- 就労可能な在留資格(就労ビザ)
- 在留資格は就労目的ではないが、「資格外活動許可」を取得してアルバイトとして働く
(例えば、学生(留学ビザ)で週28時間以内等)
これらの在留資格・許可がないまま働くと「不法就労」となり、本人・雇用主ともに法的リスクがあります。
実際、法人や店舗が外国人雇用を検討する際は、在留カード・在留資格を確認する義務があります。
2. コンビニで働く際に使われる主な在留資格
ここでは、コンビニで働く/働いている外国人が持っている、あるいは持ち得る在留資格を整理します。
2-1 身分系在留資格(就労制限なし)
身分系の在留資格を持っている場合、就労制限がないためコンビニでの勤務が可能です。具体例:
- 日本人の配偶者等
- 永住者の配偶者等
- 永住者
- 定住者 など。
たとえば「永住者」や「配偶者等」の資格を持っていれば、レジ打ち・品出しなどいわゆる“単純作業”も含め、業務内容に大きな制限がありません。
2-2 在留資格「留学」「家族滞在」+資格外活動許可
学生ビザ(留学)や扶養を目的とするビザ(家族滞在)といった、就労を主目的としない在留資格を持つ外国人が、アルバイトとしてコンビニで働く場合があります。この場合のポイント:
- 在留カードの「資格外活動許可欄」に「許可:原則週28時間以内・風俗営業等の従事を除く」が記載されていること。
- 週28時間以内など、労働時間に制限があります。
この形態が、もっとも多く見られる“コンビニで働く外国人”のケースです。
2-3 就労ビザ(専門性が求められる在留資格)
代表的な就労ビザには、技術・人文知識・国際業務(通称:技人国ビザ)があります。
しかし、コンビニで一般的に想定される「レジ打ち・品出し」など単純労働は、この在留資格では認められていないのが原則です。
ただし、例外的に「コンビニ業務を含む形」で許可された事例もあります。例えば、店長補佐として「マーケティング・経営管理・運営企画」など専門性を伴う業務を含むプランが入管に認められたケースです。
2-4 注目の「特定活動」46号など
最近では、例えば 特定活動(告示46号)という在留資格で、一定の条件を満たした外国人が、サービス業務を含む就労を可能とされるケースも紹介されています。例えば、大学以上の学歴・日本語能力試験N1以上などの要件をクリアしていれば、コンビニ業務も視野に入るという可能性があります。
ただし、これは“現状一般的”というより、特定要件を満たした例という位置づけです。
3. コンビニで働く際に注意すべきポイント
3-1 雇用側(店舗・オーナー)の注意点
- 在留カードの確認:在留資格・在留期間・就労制限の有無を必ず確認。
- 業務内容の整理:外国人が従事する業務が、在留資格の活動範囲内であるかどうか。
例えば技人国ビザでは「単純労働」が認められないため、レジ打ち・品出し主体では申請が難しいです。 - 労働時間管理:学生のアルバイトなら週28時間以内など制限があります。
- 不法就労対策:在留資格の範囲を超えた就労・無資格就労は、本人・雇用主ともに処罰対象です。
- 契約・書類化:雇用契約書・職務内容・就労時間・給与などを明文化しておくことがトラブル防止につながります。
3-2 外国人本人の注意点
- 在留資格の目的を理解:例えば「留学」は勉学を目的とするものであり、就労目的ではありません。アルバイトとして働くには資格外活動許可が必要です。
- 在留期限・在留資格の更新・変更:就職・転職・雇用形態の変更時には、在留資格変更申請や在留期間更新が必要です。
- 業務内容を守る:在留資格の範囲外の業務(例:専門性を伴わない単純作業で技人国ビザを利用するなど)は、在留資格取消・強制退去のリスクがあります。
- 言語・勤務条件・文化の違い:日本語能力、シフト・勤務時間、業務内容を事前にしっかり理解しておくことが望まれます。
4. よくあるQ&A(コンビニ勤務編)
Q1.「学生(留学ビザ)でコンビニでアルバイトできますか?」
はい、条件を満たせば可能です。例えば、在留資格「留学」を持っていて、在留カード裏面に「資格外活動許可」が記載されていれば、原則として週28時間以内でコンビニでのアルバイトが認められています。
ただし、雇用時間・内容・風俗営業等への従事の有無などの制限があります。
Q2.「技術・人文知識・国際業務(技人国ビザ)でコンビニの正社員として働けますか?」
原則として、単純なレジ打ち・品出し作業のみを行う正社員勤務では許可されない可能性が高いです。なぜなら、この在留資格が対象とする「技術・人文知識・国際業務」は、学歴・実務経験等を要する専門的な知識・技術・感受性を必要とする業務が前提だからです。
ただし、例えば「店長候補」「店舗運営管理」「マーケティング」など専門性・管理業務を伴うプランがある場合には、許可が出た事例もあります。
Q3.「身分系在留資格(永住者・配偶者等)ならコンビニで働けますか?」
はい。身分系の在留資格を持っている場合、就労制限がなく、コンビニでの勤務も可能です。特別な手続き(資格外活動許可など)は不要です。
Q4.「将来、コンビニで働く外国人を正社員で雇用したいのですが、どの在留資格を目指せばいいですか?」
いくつかのパターンがあります:
- 外国人本人が身分系在留資格(例:永住者配偶者等など)を取得していれば、比較的容易です。
- 学生から正社員へとキャリアチェンジする場合、留学→技人国ビザへ変更が考えられますが、業務内容が専門的である必要があります。
- 最近では「特定活動46号」などの在留資格もサービス業・店舗業務を含む形で検討されています。
いずれにせよ、雇用予定の業務内容・キャリアプラン・外国人本人の学歴・日本語能力を整理し、専門の行政書士等に相談することをおすすめします。
Q5.「外国人をコンビニでアルバイト雇用する際の注意点は?」
雇用側としてのポイント:
- 在留カードの確認・写し取得・有効期限確認。
- 在留資格に「就労可能か」「就労時間制限があるか」を確認。
- 週28時間以内・風俗営業等の従事除外などの条件を守る。
- 労働条件書・契約書・就労時間管理など制度的整備。
- 無資格就労・在留資格違反となった場合、雇用主にも法的リスクあり。
5. ケーススタディ:コンビニでの外国人雇用と在留資格活用
5-1 アルバイトとして留学生が働くパターン
例:外国人留学生(留学ビザ)で授業外に収入を得たい場合、資格外活動許可を取得し、週28時間以内でコンビニでのレジ・品出し等を行う。
このパターンは最も一般的で、店舗側・本人どちらにも比較的ハードルが低めです。
ただし、就職を視野に入れた場合、在留資格変更の準備が必要になることもあります。
5-2 正社員として働くパターン(身分系資格保持者)
例:外国人が「永住者の配偶者等」等の在留資格を持っており、コンビニ店舗で正社員として採用される。
この場合、業務内容に大きな制約がなく、レジ・品出し・発注・店舗運営補助などを幅広く任せられます。
採用側としても在留資格の変動リスクが少なく、安心して雇用が可能です。
5-3 正社員として働くパターン(専門性を活かして技人国ビザで)
例:外国人が日本の専門学校・大学で経営・マーケティングを専攻し、卒業後、コンビニチェーンの店舗運営・分析・管理部門に採用される。
この場合、「単純業務だけを行う」のではなく「店舗運営企画・売上分析・マーケティング・多店舗管理」など、専門知識を活かした業務が含まれているプランが、在留資格申請時にポイントとなります。実際に、入管がこのようなケースを許可事例として公表しています。
ただし、ハードルは高く、業務内容・キャリアプラン・勤務条件・報酬などが審査対象となります。
6. 将来の展望・制度改正の動き
- 現在、コンビニ業界を含むサービス業では深刻な人手不足が指摘されており、外国人採用に向けた制度整備の動きがあります。例えば、コンビニ業務も将来的に 特定技能(特定技能1号・2号)の対象となる可能性が検討されています。
- 今後、新たな在留資格や雇用モデルが出てくる可能性があり、外国人雇用を検討する企業・店舗は最新情報をチェックしておくことが重要です。
7. まとめ
- コンビニで働く外国人の在留資格として、もっとも一般的なのは「留学+資格外活動許可」「身分系在留資格(就労制限なし)」です。
- 「技術・人文知識・国際業務」などの専門性を要する就労ビザで、一般的なコンビニ業務を行うのは原則難しいですが、管理・運営・専門性を伴う勤務内容を含めた場合に許可を得た事例もあります。
- 雇用側・本人ともに、在留カードの確認、業務内容の整理、就労時間の管理、制度の理解が欠かせません。
- 将来的には、サービス業・コンビニ業界において外国人材を対象とした在留制度の拡充が期待されており、雇用・就労双方ともに制度変更に敏感であることが望まれます。
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![]() 「記事監修」 加納行政書士事務所 運営HP:ビザ申請サポートNavi https://visasupportnavi.net/ 代表 特定行政書士 加納 裕之 「学歴」 同志社大学大学院法学研究科公法学専攻博士前期課程修了(修士(法学)) 明治大学法科大学院修了 「資格」 行政書士(特定付記)、TOEIC805点 「専門分野」 入管取次・ビザ申請、在留資格、永住・帰化、外国人問題、国際公法 |

