【技術・人文知識・国際業務ビザ/IT業界編】ITエンジニアが取得するための要件と注意点を徹底解説


1.技術・人文知識・国際業務ビザとは?

「技術・人文知識・国際業務ビザ」(以下、「技人国ビザ」)は、
大卒レベルの専門知識を活かして企業等で働く外国人に付与される代表的な就労ビザです。

IT業界では特に「技術」分野が中心となり、システムエンジニア、プログラマー、ITコンサルタント、プロジェクトマネージャーなどの職種で広く利用されています。

このビザを取得することで、外国人は日本国内で正社員として長期的に働くことが可能になります。


2.IT業界での「技術・人文知識・国際業務ビザ」取得要件

IT業界でこのビザを取得するためには、以下の3つの要件をすべて満たす必要があります。

(1)学歴または実務経験要件

  • 大学・短大・専門学校などで、IT・情報処理・コンピュータ・電子工学などの専攻を修了していること。
  • または、IT分野で10年以上の実務経験を有していること(学歴がない場合)。
  • 情報処理に関する試験に合格又は資格を有すること

(2)職務内容が専門性を有していること

  • 入管法上、単純作業は認められません。
  • 例えば、次のような職務は「技術」分野として認められます。
該当職務不該当職務
システム設計、ソフトウェア開発、ネットワーク構築PC操作補助、データ入力、ヘルプデスクのみ

(3)雇用契約と労働条件が適正であること

  • 労働契約書や雇用条件通知書で、日本人と同等以上の給与水準が確認される必要があります。
  • 社会保険の加入も審査対象です。

3.学歴要件と実務経験の関係

IT業界でのビザ取得で最も多いパターンは、情報系大学や専門学校卒業者です。
ただし、専攻と職務内容の関連性が重要です。

例:許可されやすいケース

  • 情報工学科卒 → システムエンジニアとして勤務
  • 経営情報学部卒 → ITコンサルタントとして勤務

例:不許可になりやすいケース

  • 経済学部卒 → プログラマー(IT系実務経験なし)
  • 美術大学卒 → IT企業のエンジニア職

関連性が弱い場合は、職務経歴書や職歴証明書を詳細に提出し、実務経験を補強することが重要です。


4.職務内容が「専門性」に該当するかの判断基準

IT企業で働く場合でも、「単純作業」と見なされると不許可のリスクがあります。

専門性が認められる仕事内容

  • システム開発(設計・開発・テスト)
  • ネットワーク設計・構築・保守
  • データベース設計
  • AI・IoT・クラウド技術の開発
  • プロジェクトマネジメント

専門性が認められにくい仕事内容

  • PCセットアップやキッティング作業のみ
  • コールセンター業務
  • データ入力中心の事務作業

入管では「職務内容」と「学歴・経歴」の一致を厳しく確認します。
職務説明書(職務内容明細書)は詳細かつ専門的な内容にすることが重要です。


5.よくある不許可事例とその対策

不許可理由主な原因対策
専攻分野と職務内容が一致していない文系卒でIT職務実務経験証明を添付し関連性を説明
単純労働と判断されたテスターやヘルプデスク業務中心職務の専門性を明確に記載
給与が低すぎる最低賃金または同業他社より低水準日本人同等水準の給与を提示
社会保険未加入雇用主が制度未整備保険加入証明・源泉徴収票を添付

【ポイント】
「なぜこの業務にこの人材が必要なのか」を明確に説明することが審査通過の鍵です。


6.必要書類一覧

IT業界で技人国ビザを申請する際の主な書類は以下の通りです。

申請者本人関係

  • 履歴書
  • 卒業証明書(または成績証明書)
  • 職歴証明書(実務経験者の場合)
  • 在留カード・パスポート

受入企業関係

  • 登記事項証明書
  • 決算書(直近の損益計算書・貸借対照表)
  • 会社案内またはWebサイト資料
  • 雇用契約書または内定通知書
  • 職務内容明細書(詳細な業務説明が必要)

7.審査のポイント(入管が重視する3大チェック項目)

入管では、次の3点を重点的に確認します。

(1)専門性の裏付け

→ 専攻内容と業務内容が一致しているか。

(2)企業の安定性

→ 黒字経営か、社会保険加入があるか。

(3)雇用の継続性

→ 契約期間が1年以上か、再契約の可能性があるか。

これらがすべて整っていれば、初回の在留期間「1年」または「3年」の許可が出ることが多いです。


8.Q&A:よくある質問

Q1:文系出身でもITエンジニアとしてビザ取得は可能ですか?

A:可能ですが、実務経験10年以上または職歴で専門性を証明する必要があります。
例えば、文系卒でも過去にIT企業でSEとして勤務していた場合は、職務経歴書で詳細に説明しましょう。


Q2:新卒で日本の専門学校を卒業した外国人でも申請できますか?

A:はい、日本の専門学校(専門士課程・2年以上)を卒業し、情報処理・IT関連専攻であれば取得可能です。
学校のカリキュラムが職務内容と関連していることが重要です。


Q3:派遣先での就労は可能ですか?

A:可能ですが、派遣契約形態・派遣先の仕事内容が専門的であることが前提です。
入管では「派遣先業務が単純作業でないか」を厳しく審査します。
派遣契約書・業務委託書の添付が必要です。


Q4:給与が月20万円程度でも許可されますか?

A:職務内容や地域によりますが、日本人新卒と同等レベルであれば許可される場合もあります。
ただし、18万円を下回る場合は「生活が安定しない」として不許可の可能性があります。


9.まとめ:IT業界での技人国ビザは「専門性+説明力」で決まる

IT業界は、外国人材の需要が高く、技人国ビザが最も多く利用されている分野です。
しかし、学歴・実務経験・職務内容の整合性が取れていないと不許可になることも少なくありません。

許可率を高めるためには、

  • 専門性の説明
  • 給与・保険などの適正条件
  • 職務明細書の丁寧な作成
    が欠かせません。

行政書士など専門家のサポートを受けることで、書類の完成度を高めることができます。

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  「記事監修」 加納行政書士事務所 運営HP:ビザ申請サポートNavi https://visasupportnavi.net/ 代表 特定行政書士 加納 裕之 「学歴」  同志社大学大学院法学研究科公法学専攻博士前期課程修了(修士(法学))  明治大学法科大学院修了 「資格」  行政書士(特定付記)、TOEIC805点 「専門分野」  入管取次・ビザ申請、在留資格、永住・帰化、外国人問題、国際公法
「記事監修」
加納行政書士事務所
運営HP:ビザ申請サポートNavi https://visasupportnavi.net/  

代表
特定行政書士 加納 裕之  
「学歴」
 同志社大学大学院法学研究科公法学専攻博士前期課程修了(修士(法学))
 明治大学法科大学院修了
「資格」
 行政書士(特定付記)、TOEIC805点
「専門分野」
 入管取次・ビザ申請、在留資格、永住・帰化、外国人問題、国際公法