【完全ガイド】年金未納でも永住者の配偶者ビザ申請は可能?審査への影響と対策を徹底解説


1.永住者の配偶者ビザとは?

「永住者の配偶者等」とは、日本で永住許可を受けた外国人と結婚している配偶者や、その子供に与えられる在留資格です。
このビザは「日本人の配偶者等」と似ていますが、根拠となる身分が「永住者」である点が異なります。

永住者の配偶者ビザの主な特徴

  • 就労制限がなく、どんな仕事にも従事できる
  • 永住者と離婚・死別するとビザの延長が難しくなる
  • 在留期間は最長5年(1年、3年、5年のいずれか)

2.年金の未納・滞納があると配偶者ビザに影響する?

結論から言うと、年金未納・滞納は「永住者の配偶者ビザ」の審査に影響する可能性があります。

なぜなら、入管庁が審査時に確認する項目の中に「素行要件」や「公的義務の履行状況」が含まれているためです。
つまり、税金・社会保険・年金の未納があると、「日本での生活態度が適正でない」と判断される恐れがあります。

ただし、年金の未納だけで即不許可になるわけではありません。
婚姻の実態や生活の安定性、改善意思など、総合的に判断されます。


3.審査で重視される「素行要件」と「納税義務」

(1)素行要件とは

「素行要件」とは、申請人や配偶者が日本社会の法令や制度を遵守して生活しているかを判断する基準です。
入管庁は、次のような点を確認します。

  • 税金(所得税・住民税)を期限内に納付しているか
  • 国民健康保険料・国民年金保険料を納付しているか
  • 違反行為(交通違反や軽犯罪など)がないか

(2)納税義務の履行は信頼性の指標

年金は法律で加入・納付が義務付けられています。
そのため、長期の未納や滞納があると、「法令遵守意識に欠ける」と見なされるリスクがあります。

特に、申請人(永住者の配偶者)が扶養されている場合でも、扶養者である永住者本人が未納であれば、世帯全体の評価に影響します。


4.国民年金未納がある場合の具体的なリスク

(1)不許可理由としての扱い

入管審査では、**「公的義務を果たしていない」**ことを理由に不許可となる事例があります。
実際に、税金や社会保険料の未納がある場合、入管庁は次のような理由で不許可通知を出すことがあります。

「素行要件を満たしていないと判断されました。」

この文言は一見抽象的ですが、実際には税・年金・保険料の未納が原因であることが多いです。

(2)入管は過去2〜3年分を確認

年金や税金の納付状況は、通常**過去2〜3年分の証明書(納税証明書・保険料納付確認書など)**を提出して確認されます。
この期間に未納や滞納があると、改善努力を示す資料が必要になります。


5.配偶者が年金を未納でも許可されるケースとは?

以下のような状況では、年金未納があっても許可される可能性があります。

(1)短期間の未納で、すでに完納・追納している場合

→「一時的な未納であり、現在は解消済み」であれば、誠実な対応と見なされます。

(2)経済的理由で免除申請を行っている場合

→ 国民年金には「全額免除」「一部免除」「学生納付特例」「若年者納付猶予」などの制度があります。
これらを正式に申請して承認されていれば、未納扱いにはなりません。

(3)婚姻の信ぴょう性・生活基盤が十分にある場合

→ 結婚生活が安定しており、永住者配偶者が安定収入を得ている場合、総合判断で許可されるケースもあります。


6.未納がある場合の改善・対策方法

年金未納がある場合、以下の手順で改善を進めましょう。

(1)未納期間を確認する

市区町村の年金窓口で「保険料納付状況」を確認し、未納期間を把握します。

(2)未納分を追納する

過去2年以内であれば、追納(後から払うこと)が可能です。
追納が難しい場合は、免除申請を行いましょう。

(3)改善努力を証明する書類を添付

入管には、次のような書類を添付すると効果的です。

  • 年金納付証明書または免除決定通知書
  • 市区町村発行の納税証明書(その年度分)
  • 生活状況や支払努力を説明する「理由書」

7.年金免除申請・追納の重要性

(1)免除・猶予制度は「未納」とは異なる

「未納」は放置ですが、「免除」は正式な手続きに基づく扱いです。
免除が認められていれば、入管審査ではマイナス評価になりません。

(2)免除・猶予の種類

  • 全額免除:経済的に困難な場合
  • 一部免除(3/4・半額・1/4):一定所得以下
  • 学生納付特例:学生時代の猶予
  • 若年者猶予:20〜30歳未満で所得が低い場合

(3)追納のメリット

追納すると、将来の年金受給額の回復にもつながります。
入管審査の印象も良くなり、ビザ許可率を上げる効果があります。


8.永住者の配偶者ビザ申請で注意すべき書類とポイント

申請時には、次の書類を整備しておくと安心です。

書類名内容
永住者の在留カード・身分証明書配偶者が永住者である証明
住民票(世帯全員)同居実態・家族構成を確認
課税証明書・納税証明書過去1~2年分を提出
年金納付証明書または免除証明書未納対策・素行要件証明
理由書年金未納の理由や改善状況を説明

9.【Q&A】よくある質問まとめ

Q1:年金を1年分だけ未納にしていた場合、影響しますか?
→ 一時的な未納で、すでに完納または免除済みであれば大きな問題にはなりません。

Q2:配偶者(永住者)が年金を未納でも、私(外国人)は関係ないですか?
→ 世帯単位で評価されるため、配偶者側の未納も影響します。早めに納付・免除対応を行いましょう。

Q3:年金免除申請中でも申請できますか?
→ 可能です。免除申請書の控えや審査中である旨を理由書に記載して提出してください。

Q4:会社員で厚生年金加入中でも問題になりますか?
→ いいえ。給与から天引きされていれば問題ありません。ただし、転職期間中の空白があれば確認が必要です。


10.まとめ:年金未納は不利だが、対策すれば許可の可能性はある

永住者の配偶者ビザ申請において、年金未納はマイナス要素であることは間違いありません。
しかし、未納理由が明確で、改善努力を示せば許可の可能性は十分あります。

・未納を放置せず、免除申請・追納で改善
・納付証明・理由書を提出
・世帯全体で法令遵守を意識する

永住者の配偶者ビザは、「安定した婚姻生活と社会的信用」が鍵です。
年金・税金の納付を整え、誠実な姿勢を示すことが最も重要です。


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  「記事監修」 加納行政書士事務所 運営HP:ビザ申請サポートNavi https://visasupportnavi.net/ 代表 特定行政書士 加納 裕之 「学歴」  同志社大学大学院法学研究科公法学専攻博士前期課程修了(修士(法学))  明治大学法科大学院修了 「資格」  行政書士(特定付記)、TOEIC805点 「専門分野」  入管取次・ビザ申請、在留資格、永住・帰化、外国人問題、国際公法
「記事監修」
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 明治大学法科大学院修了
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