特定技能1号支援計画の作り方と注意点|企業が押さえるべき実務ポイント

はじめに

2019年に新設された「特定技能制度」により、外国人材の受け入れが本格化しています。なかでも「特定技能1号」は、比較的早期に受け入れ可能な在留資格として注目されています。本記事では、特定技能1号支援計画の作成方法と注意点について、最新情報を踏まえて詳しく解説します。


特定技能1号支援計画とは?

支援計画の目的

特定技能1号の外国人材は、技能実習とは異なり転職可能であることが特徴です。そのため受け入れ機関には、外国人が日本で安心して働き、生活できるよう「支援計画」を策定し、適切に実施する義務があります。

法的根拠

支援計画の策定・実施は、「出入国管理及び難民認定法」及び「特定技能制度に関する省令」に基づく義務です。違反があった場合、受け入れ機関の登録取り消しや在留資格の不許可に繋がるリスクがあります。


支援計画の主な内容(13項目)

支援計画には以下の13項目の支援が含まれていなければなりません:

  1. 入国前ガイダンスの提供
  2. 出入国の際の送迎
  3. 住居確保・生活に必要な契約支援
  4. 生活オリエンテーションの実施
  5. 日本語学習の機会の提供
  6. 相談・苦情への対応
  7. 日本人との交流促進
  8. 転職支援(解雇・終了時)
  9. 非自発的離職時の届出
  10. 行政手続きの同行
  11. 銀行口座・携帯電話契約の支援
  12. 支援実施体制の確保
  13. 支援の記録作成・保管義務

支援計画作成時の3つの注意点

1. 外国人の「母国語」対応が必須

すべての支援は、原則として外国人が理解できる言語(母語等)で行う必要があります。誤解を防ぐためにも、多言語対応の体制構築が求められます。

2. 支援の「外部委託」もOKだが要注意

支援業務は登録支援機関への外部委託も可能ですが、委託先の信頼性や業務実施状況を管理監督する責任は、あくまで受け入れ機関にあります。

👉 内部リンク:登録支援機関を選ぶポイントとは?

3. 支援実施状況の「記録・保存」が重要

支援を「行った証拠」として、日時・方法・内容・対象者などを記録し、3年間保存する必要があります。法的義務のため、記録は定型フォーマットでの運用を推奨します。


実際の支援計画の作成手順

  1. 外国人材の母国語を確認
  2. 業務に即した支援項目を精査
  3. 必要に応じて登録支援機関と連携
  4. テンプレートに沿って支援内容を具体化
  5. 支援実施スケジュールを明記
  6. 社内研修・役割分担の確認
  7. 提出・保管用にPDF化・印刷

よくある失敗事例と対策

失敗事例対策方法
支援言語が日本語のみ多言語ツールの導入+翻訳サポートの活用
支援記録の未保存専用フォーマットでの記録徹底
委託先との連携不足委託契約書+月次報告制度の導入
ガイダンスの質が低い専門家監修のスライドや動画教材の使用

まとめ|支援計画は「受け入れ企業の信用」に直結

特定技能1号支援計画の質は、企業の信頼性・受入体制の評価に直結します。計画作成は単なる形式ではなく、外国人材が日本社会に円滑に適応し、定着するための最重要プロセスです。


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「記事監修」
加納行政書士事務所
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代表
特定行政書士 加納 裕之  
「学歴」
 同志社大学大学院法学研究科公法学専攻博士前期課程修了(修士(法学))
 明治大学法科大学院修了
「資格」
 行政書士(特定付記)、TOEIC805点
「専門分野」
 入管取次・ビザ申請、在留資格、永住・帰化、外国人問題、国際公法